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| 老人性色素斑は、中年以後の男女に見られる皮膚の光老化の一症状である。この色素斑は主に顔面、手背、前腕伸側などの露出部に生じ、色は黒褐色から淡褐色で濃淡がまだらで、大きさ大小不同、形は不整形の斑点である。ヒトによっては、小型で雀卵型の斑点が沢山みられたり、大型で親指の頭位にもなる斑点が少数散在する。大型のものでは一部が隆起し、老人性疣贅に移行する場合がある。 |
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| 老人性色素斑の成因は、老化および紫外線照射により表皮細胞のターンオーバーに異常をきたすためであると考えられている。年齢とともに増加し、高齢者では ほぼ100%のヒトにみられる。この色素斑は皮膚の露出部位に好発し、外観を損なうため、とくに女性の場合には精神的ストレスの要因となる。われわれは、表皮ターンオーバー調整作用を有するビタミンA酸(all-trans-retinoic acid)が老人性色素斑に有効かどうかを検討した。 |
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| 本邦ではこの薬剤は市販されていないので、ビタミンA酸を0.1%含有する軟膏剤を調製した。サラシミツロウ、モノステアリン酸グリセリンを60〜70℃で溶融した後、白色ワセリンと均一に混和し、基剤とした。次にビタミンA酸に基剤を少量ずつ加え、均一に混和して0.1%ビタミンA酸軟膏を調整した。ビタミンA酸は光、酸素および温度に対して非常に不安定な物質であると報告されているので、この軟膏の安定性を検討した。 |
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| 透明容器に充鎮し、照度1500LXの蛍光灯で照射したところ、照射30分後にすでに3割以上が分解し、6時間後には約7割が分解していた。アルミチューブに充鎮した軟膏を冷所(4℃)および室温(20℃)に保存し安定性を比較した。冷所に6カ月保存した場合には非常に安定でほとんど分解しなかった(95.7±3.8%)。しかし、室温に保存した場合には7日後に約5%、3カ月後には約7%、6カ月後には約11%と有意に分解していた。そこで0.1%ビタミンA酸軟膏をアルミチューブに充鎮し、遮光し、冷所に保存して使用することにした。 |
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| 0.1%ビタミンA酸軟膏の臨床効果を当院皮膚科を受診した37例の老人性色素斑患者で評価した。インフォームドコンセントを行い、文書で使用の承諾を得た。妊娠の可能性がないこと、皮膚刺激反応やアレルギー反応を示さないことを確認し、治験を開始した。0.1%ビタミンA酸軟膏を1日2回(朝および夕の洗顔後)、色素斑部位に単純塗布した。6カ月間以上観察を行い、治癒した症例はその時点で塗布を中止した。 |
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| 臨床効果の判定は肉眼観察およ び色彩色差計により色素沈着部と正常部の明度差により行った。肉眼観察では、治癒(色素斑 の消失)35.1%、改善(色素沈着の程度・面積の明らかな減少)48.6%、無効5.4% および脱落8.1%で、全対象患者の83.8%において改善以上の良好な結果が得られた。 |
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| 治療開始時の色差に対する治療終了時の色差を比較したところ、治癒群では6.0に対して1.9と有意に低下(66.8%)した。改善群でも、9.3から5.4へと有意に低下(38.4%) した。無効群では6.7と7.4で変化がなかった。副作用は、改善群で色素斑周囲に発赤が1例に認められた。軟膏の使用を中止したところ2週間後には発赤は消失した。この患者はより強い効果を期待して、軟膏使用時に強く塗布していたためと思われる。 |
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| 以上の結果から、ビタミンA酸軟膏は適切な服薬指導のもとで適正使用することにより、 老人性色素斑の治療において有用であり、患者の QOL を向上することができると考えられる。 |
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| 奥村佳寿子、加藤勝義、長谷川雅哉、小倉庸蔵、長谷川高明、鍋島俊隆、早川律子:0.1% ビタミンA酸軟膏の安定性および老人性色素斑に対する臨床効果について、愛知県病院薬剤師会雑誌、 25,13-17,1997.より引用 |
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| 鍋島 俊隆 |
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(なべしま・としたか) |
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| 1968年 |
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岐阜薬科大学卒業、大阪大学大学院薬学研究科修士課程(生物薬品化学講座)入学 |
| 1970年 |
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同修士課程終了、同博士課程入学) |
| 1973年 |
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同博士課程単位取得 |
| 1977年 |
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東北大学薬学博士 |
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