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| 疥癬の治療は、寄生している疥癬虫を殺すこと、「かゆみ」をやわらげることと、入浴や下着や寝具に手間をかけることです。今回は、まず疥癬虫を殺すためのお薬についてお話しましょう。 |
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| 「疥癬虫を殺すためのお薬」の問題点は、わが国では効果的に疥癬虫を殺すことのできる薬剤が医薬品として認められてないことにあります。保険薬として使用可能なのは、オイラックス(10%クロタミトン)軟膏と、イオウ含有軟膏です。 |
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| オイラックス軟膏は1948年スペインで発売、1957年以降わが国で市販されているとても古いお薬です。効能・効果は、湿疹、じん麻疹、神経皮膚炎、皮膚掻痒症、小児ストロフルスとなっていますが、皮膚科専門の先生がこれらの適用疾患に使うことはあまりなく、疥癬治療の補助薬として使われることが多いのではないでしょうか。普通の疥癬ならば、毎日入浴しながら1か月毎日ぬり続けると治るといわれています。 |
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| 参考までに、Andrews の皮膚科書には、疥癬治療には、オイラックス軟膏を外用して24時間後に洗い流すことを連続5夜しなければいけないが、治癒率はわずか50〜60%と記載されています。使用上の注意点として、小児には広範囲に使用してはいけないことになっています。 |
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| イオウ含有軟膏は、局方のイオウなどを白色ワセリンや単軟膏などに混合して調整します。Andrews の皮膚科書には、6〜10%のイオウ軟膏(白色ワセリン基剤)が、妊婦や乳児にも安全で効果的で、3夜連続して使うと記述されています。また、局方にイオウサリチル酸チアントール軟膏というのがあって、これは角質浸透性をよくするためにサリチル酸を含む軟膏があります。広範囲に使用するとサリチル酸による肝機能障害に注意が必要です。 |
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| 市販薬としては、イオウ沐浴剤であるムトーハップがあり、連日使用すれば普通の疥癬なら半月程でよくなることもあります。ただしイオウ剤は、皮膚を乾燥させたり、かぶれをおこしたりするこも多いので、薬浴後十分シャワーで洗い流したり、入浴後の保湿剤の外用が必要でしょう。 |
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| より殺虫効果の高い薬剤としては、医薬品としては認められておりませんが試薬として入手できる、安息香酸ベンジルやγ−BHC(ガンマ−ベンゼンヘキサクロライド)を自家で調整して使う方法があります。 |
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| 安息香酸ベンジルは、昔から疥癬に有効とされていたペルーバルサムの有効成分で、安息香酸ベンジルを8〜35%含有するローションやアルコール溶液、肌の弱い幼小児やお年寄りにはオイラックス軟膏に混ぜて使用します。入浴後首から下の全身にくまなく外用し、翌日入浴さらにもう一回外用します。卵には効きにくいので、残っている卵がかえった時期である5〜7日後に再度外用すると効果的です。 |
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| 1%のγ−BHC(ガンマ−ベンゼンヘキサクロライド)は、安息香酸ベンジルより効果が強く、首から下への一回外用で疥癬を全滅させることができるといわれています。ただし卵には無効なので、卵がかえる5〜7日後にもう一回外用する必要があるでしょう。 |
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| γ−BHC には神経毒性があり、幼小児や妊婦への使用は禁忌です。また、γ−BHC 外用6時間後に、必ず洗い流す必要があることを忘れてはなりません。 |
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| さて、私が成人患者に通常選択している治療法は、10−12%の安息香酸ベンジルアルコールとオイラックス軟膏の併用です。10−12%の安息香酸ベンジルアルコールを外用しない時にオイラックス軟膏を外用してもらいます。 |
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| 通常外来で、一度、安息香酸ベンジルアルコールを首から下に外用します。翌日の治療や、同居家族用に安息香酸ベンジルアルコールを持って帰っていただきますが、換気のいい場所を選ぶこと、火気に厳重に注意すること、目にはいらない(手で目をこすらない)注意や、入浴、衣類等について注意した説明書を併せて持って帰っていただきます。外用は指の間指先、足の裏、臀部や股部についても、ぬり残しがないよう徹底的に行うことが大切です。 |
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| 散発的に発生した普通の疥癬(軽症、比較的健康で入浴も自分でできる方)なら、上記のような方法で落ち着きます。しかし、ノルウェー疥癬といわれる角質増殖や痂皮を付す重症の疥癬治療には難渋します。また、施設で集団発生した場合には終息させるのに多大なエネルギーを必要とします。次回は、そのようなお話をしたいと思います。 |
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| 〈第3話へ〉 |
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| 沼原 利彦 |
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(ぬまはら・としひこ) |
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| 1986年 |
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香川医科大学卒業(第一期生) |
| 1986年 |
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同大学附属病院皮膚科研修医 |
| 1987年 |
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同大学医学部内科学講座皮膚科学助手 |
| 2000年 |
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同大学附属病院皮膚科講師・副科長、現在に至る |
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