新米皮膚科医
    青森県立中央病院皮膚科/赤坂 英二郎

私はこの春で医師になり8年目を迎えました。8年目の医師とはいっても、2年間の臨床研修と4年間の研究中心の大学院を経ていますので、実際に皮膚科の臨床に携わっていたのは1年半程度であり、その大部分が皮膚悪性腫瘍を中心とした病棟業務でありました。この度、平成22年3月より弘前大学病院から青森県立中央病院に異動になりましたが、毎日外来を担当するようになったのは今回が初めてであり、8年目にして本当の意味での皮膚科臨床デビューといっても過言ではありません。どんな先生方にもそうした新米皮膚科医の時代があったと思いますので、そのころを思い出しながら目を通していただければ幸いです。
日々、様々な患者さんと接していると自分がいかに知識不足であったかに愕然とします。これまで、自分で診断し治療計画を立てるという経験がほとんどなかった自分にとって、外来診療は毎日緊張と苦悩の連続です。とくに新患患者さんで診断がまったくわからない場合(実際よくあることですが・・・。)は大変です。長々と問診をし、首をかしげながら皮疹とにらめっこをしても、分からないものは分かりません。再来患者さんのカルテが山のようにたまり、受付では「診察はまだか!」と患者さんの怒号が響いています。意を決して部長に相談すると、瞬時に診断が下されます。聞いたこともないその診断名を夜な夜な調べてみると、医学書の隅に小さな文字で書かれているような疾患であったりするのですが、精査してみると臨床診断が的確であることがわかります。また、いわゆるcommon diseaseも悩みの種の一つです。十分に理解していたつもりでも、実際に診療した経験が少ないため診断に苦慮することが多々あります。とくに湿疹・皮膚炎は臨床像が多彩で病因も多岐にわたるので悩まされることが多く、「これは湿疹だよ。」と先輩の一声で目からうろこが落ちます。そんなことの繰り返しで、先輩先生方の臨床能力の高さに改めて尊敬の念を抱くとともに、自分の未熟さを痛感しております。
恥を書き連ねてまいりましたが、どんな先生方にも多かれ少なかれ似たような経験があるのでは・・・と淡い期待を抱いています。先日、ふと部長の診察机に置かれている医学書を目にする機会があったのですが、隅々まで何度も読み返した形跡があり、余白には所狭しと書き込みがあり、その疾患の掲載論文の情報まで詳細に記載してありました。日々の診療の中で多くの疾患を経験しても、それが本当に自分の知識として身につくかどうかは、自分の努力次第なのだと改めて感じました。
医師8年目では新米皮膚科医という言葉は的確ではないのかもしれませんが、現在私が経験していることは、これから一生皮膚科医を続けていくうえでの基盤となるものであるし、またそうなるように努力したいと思っています。新米皮膚科医の苦悩と奮闘はまだはじまったばかりです。
赤坂 英二郎  
平成15年3月 弘前大学医学部卒業
平成15年4月   弘前大学病院 臨床研修医
平成16年4月   青森県立中央病院 臨床研修医
平成17年4月   弘前大学医学部皮膚科 医員
平成22年3月   青森県立中央病院皮膚科 医師
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