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皮膚科の専門分野を考える
    久留米大学医学部皮膚科/石井 文人

最近よく患者さんや友人から「先生の皮膚科の中での専門は何ですか?」と聞かれることがある。
「皮膚科の関するものすべてです」と格好良く答えることはまだ卒後10年ちょっとの身分では自信を持って言えず、またすべての皮膚疾患領域に精通し臨床的にも研究的にも網羅するスペシャリストは日本に何人いるのだろうかと思う。「にきび、蕁麻疹、アトピー皮膚炎」などのcommon diseaseのどれかを答えれば話もはずむだろうが、日常の診療において皮膚科専門医としてある程度間違いのない診察をしているつもりだが、いままでそれらの疾患に対する目にみえる業績やマニアックな知識までも持ち合わせていないため、言葉につまる。実際相手には業績などみえないのだから、何を言ってもいいのだろうが。現在私の興味ある疾患は、自己免疫性水疱症であるが、common diseaseでもなければ、一言では説明しにくい領域であり、門外の人にはピンとこないことが多い。またそれを言っても相手の期待感を裏切るようで申し訳ない気がしてしまう。
以前、当教室の准(助)教授だったM先生から「将来、common diseaseのどれかひとつを専門に持ちなさい」と言われたことを思いだす。大学病院では稀な疾患や学術的に興味深い患者を診る機会が多いが、やはりcommon diseaseがほとんどである。市中の病院・クリニックでは尚のことであろう。大学内で働くことの利点として、経験豊富な、またはある疾患領域にサブスペシャリティーを持った先生にすぐ相談できることだと思う。脱毛症に関してはA先生に相談しよう、乾癬の治療についてはB先生からよくアドバイスをもらうといった具合に。
私の所属する教室では、一般皮膚科に加え、サブスペシャリティーをもち、より皮膚科の理解を深め診療を楽しもうという教授の指導の下、研鑽している。私もある時期より自己免疫性水疱症の研究に対する動機付けを頂き、現在興味深く臨床に研究に取り組んでいる。しかし立案する研究において自分の思い描くようなことができるまでには学び実行しなければならないことが山のようにあり、頓挫することもよくある。そのようなときには諸先生方のアドバイスを始め学会講演や論文から学ぶことが多いが、サイエンスのものの見方や考え方などは「交流」という刺激の中から得ることが大いにある。このような交流や診療を通して様々な疾患の発症機序や治療効果などの事象に触れることによりphysician-scientistの目を養っていき、話が弾むような疾患にも精通できるよう少しずつ増やしていきたいと思っている。
石井 文人 ISHII, Norito 
1998年 久留米大学医学部 卒業
    久留米大学医学部皮膚科 研修医
2000年   済生会福岡総合病院皮膚科 勤務
2001年   旭川医科大学皮膚科学講座 研究生(国内留学)
2002年   久留米大学医学部皮膚科 助手
2007年   ドイツ・リューベック大学皮膚科 留学
2009年   久留米大学医学部皮膚科 助教
ライン
久留米大学医学部皮膚科学教室 助教
〒830-0011 福岡県久留米市旭町67番地
TEL 0942-31-7571 /FAX 0942-34-2620
E-mail: norito@med.kurume-u.ac.jp
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