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| 最近、九州では黄砂が見られるのが早まっているように感じられます。また、一昨年は近年になく特に激しく、日本の広い地域で観察されたようです。この黄砂は中国の砂嵐により舞い上がった細かな砂が風に乗ってはるばる日本へ渡って来て引き起こされる現象です。九州では春の風物詩となっていますが、中国の砂嵐は大変深刻で、一説によると北京に近いところまで迫っているとのことです。この砂嵐が意外にも生薬・漢方薬と関係があります。ではどのような因果関係があるのでしょう。 |
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| 約70%の漢方薬に甘草が配合されています。実は、この甘草が砂嵐と深い関係が有ったのです。甘草は、Glycyrrhiza 属のマメ科の多年性植物です。長い根茎を持っており地下水位の低い乾燥地帯に生育しております。従って、日本のように湿気が高く水分の多い地帯では生育できません。中国の乾燥地帯に自生する甘草を古来より採取して漢方薬に用いてきました。また、主薬効成分であるグリチルリチンを抽出し肝障害治療薬、抗アレルギー薬として市販されています。また、グリチルリチンが砂糖の200倍の甘さを持つため、甘味料として醤油、味噌、漬物、各種飲料等に沢山用いられています。 |
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| 中国の急速な経済発展とも相まって甘草の需要が大幅に上昇したため、大量に採取されるに至りました。先にも述べましたが、甘草は長い根茎を持っていますので、1本掘るたびに大きな穴が出来ます。これが放置され半砂漠地帯へと移行したと言われています。葛根湯でお馴染みの麻黄も甘草と同様です。このため中国政府は2000年から甘草、麻黄の輸出を厳しく制限するようになりました。甘草が入手出来なくなれば漢方薬は使えなくなります。 |
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| このため当初は関連領域に衝撃が走りましたが、在庫が十分あるということで、現在は危機感が薄れているように感じられます。しかし世界的に甘草含有製剤の消費が増え続ける限り、危機と隣り合わせにいることになります。また、価格コントロールを甘受せざるを得ない時期が早晩やってくるでしょう。そのための方策として甘草を、しかも優良な品種の栽培が必須です。因みに日本の薬局方にはグリチルリチンの量が2.5%以上と規定されていますので、グリチルリチン含量をクリヤーする品種が要求されます。 |
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| 日本には至る所に川が流れ池や湖が点在しており、山には木々が生育しているので砂漠とは無関係と思われがちですが、世界的に見れば砂漠化が日に日に広がっている恐ろしい現実に直面しています。 1980年と1995年の森林面積を比較した統計によるとヨーロッパ、温帯・亜寒帯北米、工業先進国等では森林面積が増加していますが、反対にアフリカ、ラテンアメリカ、アジア・オセアニア地域で大きく減少していますので、相殺すると25%前後森林面積が後退していることになります。 |
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| この減少が砂漠に必ずしも直結しているとは限りませんが、少なくとも砂漠予備軍的な地域が広がっていることは間違いありません。実際には、砂漠化現象は陸地の4分の1で深刻な状況となっており、実に100カ国が、また6人に1人が影響を受けているという統計が出されています。 |
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| 以前、中国の乾燥地帯の緑化に葛を植えるプロジェクトが立ち上げられましたが、残念ながら成功するには至りませんでした。これは、葛がもともと乾燥地帯に自生する植物ではないためです。これに反して甘草は本来乾燥地帯を生育地とするため、乾燥には強い植物です。このために甘草を砂漠化防止の担い手にすることを推奨し、夢を見続けています。このことにより甘草の供給を確実なものとし、人類の文化遺産の最たるもの、漢方薬の存続を可能にすると考えています。 |
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