 |
| 小生は千葉県夷隅郡岬町、すなわち外房の一角にある小さな有床(17床)診療所で働いている。すぐ近くは三軒家海岸といい、確か昔蒋介石が逃れてきて密かに泳いだ場所であり、もともと潮の流れの激しいところで現在ではサーフィンのメッカでもある。海開きの頃には海がめが産卵する場所でもある。砂浜には種々の海浜植物が群生し、夷隅川の向こう岸には国が初めて指定した(と思う)天然記念物である海浜植物群落がある。近辺に自生する海浜植物には、薬草でもある浜防風も自生している。 |
 |
| この夷隅川をはさんで、手前の小生の医院のほうでは、浜防風、川の向こう側では、ボタン防風と種類が違うのも興味深い。川岸には河原撫子が自生し、きれいなピンクの花を咲かせるし、近辺の田には河原決明が自生している。数年前、小生の庭のプランターになんと半夏が自生した。医院の近辺は風土記によれば、その昔柴胡河原と言われていたそうである。なんと薬草に縁の深い地域である。 |
 |
| こんな田舎で診療していて、当然地元の医師会にも入会し種々のデューティーをこなしている訳だが、最近では忙しい診療の合間を縫って?准看護学校で病理を教えるという栄誉まで仰せ付かっているしだいである。病理の教科書の総論に炎症というところがあって、思えば小生の学生の頃からずっと変わっていないのである。 |
 |
| その頃は大して興味もなかったし、敢えて覚えもしなかったが、何回も教えていると覚えてしまうのである。炎症とは、生体に対して有害な侵襲が加わった時それを排除する為の生体側の防御反応であり、五大徴候として、発赤、腫脹、疼痛、機能障害、発熱(だったと思う)と記載されている。最近では多くの疾患がこの炎症を基礎に論じられるようになり、突き詰めていえば、この炎症がコントロールできれば、多くの疾患が治癒し得るのである。はて、そんな理想的な方法論が西洋薬にあったけなんて思いつつ、講義しているわけである。 |
 |
| 一方、小生の属する漢方の学派はあえて言えば、千葉学派で、古方を主とする奥田謙蔵先生の一派であり、その学問の根拠は多くは傷寒論に求めている。さてこの傷寒論、出会ったのは約6年前、我が師匠である秋葉哲生氏の主催する漢方懇話会である。何やら難しい漢文で書かれていたが、もともと免疫学者であった小生にとって、すぐピントきたのである。なんと書いてあるではないか、詳細にしかも完結に炎症をコントロールする手段が。そして、改めて前述の病理の総論を振り返るに、偶然の一致だろうか、炎症の定義に全部凝縮されているのである。炎症におけるいわゆる漢方的な気血水、そして傷寒論のエッセンスまでも。 |
 |
| コラムなので無責任に書いてしまうが、なんと治るのである簡単?に脳梗塞が、そしていろんな疾患が、炎症をコントロールすることによって、そして漢方を使う事によって。だから小生は漢方にぞっこんほれ込んでいるのである。 |
 |