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| 1. はじめに |
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| 自然と調和した21世紀の医療の実践として、伝承薬や身近な食材、伝統食品およびそれらの起源となっている健康機能性植物を活用し、植物・自然とのふれあい効果を導入して、われわれの生活の質(QOL)を高めるために、漢方医学、環境健康科学および環境園芸学を主軸とした、漢方医学と園芸療法との融合、園芸作業による心身機能の改善、健康維持・疾病予防ならびに生きがい創出、漢方医学的考え方と園芸作業を取り入れた環境と健康を考慮したまちづくり、という取組みが注目されている。特に、漢方医学と園芸療法の融合は、われわれの健康を考える観点からの「医食農同源のサイエンス」という新しい学問の試みである。 |
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| 2. 健康志向と医療の展望 |
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21世紀の医療は、現代医療(西洋医学)と漢方医学に代表される代替医療の融合した全人医療と考えられる。
漢方薬は、自然界の植物、鉱物、動物などの生薬に関する多くの経験「壮大なる人体実験」に基づいて集大成され、何世代にも渡って継承されてきた。「漢方薬は未病を治す」といわれるが、漢方の食療法は、食を以って病を避ける、食を以って病を治療する、という医食同源の考えである。すなわち、薬膳は、“漢方の食療法で医食同源を考える食事観に基づき季節に対応した食材(旬の食材)、体質や症状(各人の証)にあわせた生薬や食品を選んで作られる料理”をいう。日常生活においては、栄養のバランスの取れた食事を基本にして、これに健康によい食事を組み合わせることで、こころと身体の健康を保つ、あるいは病気を防ぐということである。また、“育ったところの物(たとえば、日本では和食)を食べるのが良い”という「身土不二」の考えに則ったものである。
園芸療法は、園芸作業や植物との触れ合いを通して心と身体の機能を改善することを目的とした療法である。園芸作業は身体機能を無理なく改善するだけでなく、心をさわやかにし、気持ちを前向きにさせることが経験的に知られている。
植物を媒体とした園芸療法という実践を通して、生きものに触れることによる共感、すなわち心理情緒的・生理的効果(感覚的)や、身体の機能回復、維持、増進である身体機能的・生理的効果、また園芸作業そのものの楽しみ、やりがい(達成感、満足感、責任感)や共同作業から得る連帯感と環境整備の大切さを学ぶといった精神的効果(行動的・精神活動的効果)が得られる。さらに、自然を介した高齢者と子供との交流(高齢者の経験の伝承)は、高齢者と子供の共生、生きがい創出、そして、いたわりの心の芽生えである。それはまた、里山の自然の保全を通して自然との共生、日本の伝統食品・旬の食材に学ぶ健康社会の伝承であると同時に、コミュニケーションから得られる地域の活性化でもある。まさに園芸療法は、人々の心と身体を癒す妙薬である。
漢方医学診療と園芸療法を融合して、医師、薬剤師、看護師、園芸家、教育家が共同して療法として体系化する研究が開始されている。将来的には、園芸療法と芳香療法(アロマテラピー)、鍼灸治療、森林浴、さらには西洋医学などとの融合・補完も考えられている。
少子・高齢化社会を迎えた現在、自然と共生し、養生を念頭に予防医学の実践者として日頃から自分の健康を自ら管理することは、「健康日本21」にうたわれる自然と調和した21世紀の医療の実践であると共に、それはまた「健康に生きる」ことへの自己研鑽である。 |
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| 池上 文雄 |
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(いけがみ・ふみお) |
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| 1975年3月 |
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千葉大学大学院薬学研究科修士課程修了 |
| 1981年9月 |
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薬学博士(東京大学) |
| 1981年1月~翌9月 |
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ベルギー国立ゲント大学医学部ベルギー政府奨学金留学生 |
| 1982年10月 |
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千葉大学薬学部助手 |
| 1994年6月 |
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同薬学部附属薬用資源教育研究センター助教授 |
| 2001年4月 |
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同大学院薬学研究院助教授 |
| 2003年4月 |
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同環境健康フィールド科学センター助教授 |
| 2005年4月 |
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同教授 現在に至る |
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| ●専門領域 |
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薬用資源植物学 |
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| ●学会活動 |
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日本薬学会、日本農芸化学会(代議員 2005年4月〜2007年3月)、和漢医薬学会、日本生薬学会、日本東洋医学会 |
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| ●社会活動 |
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日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬研修 委嘱講師
NHK文化センター柏教室「身近な薬草と健康」講座 講師 |
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| ●主な著書 |
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「Emerging Drugs Vol. 1, Molecular Aspects of Asian Medicines」(共著)
PJD Publications Ltd. USA 2001年
「薬用食品学ハンドブック」(共著)講談社 2005年 |
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