医療関係者のみなさまindexへ
漢方薬学教育...雑感
    城西国際大学薬学部教授/奥山 恵美

現在,私は薬学部で「漢方医学」の講義(必修科目,2単位)を担当させて頂いている。時々,それを再認識しては,何ともいえない不思議な思いになる。本学薬学部の開講(2004年)のために赴任する話を頂くまでは,薬学のカリキュラムに「漢方医学」が入り,しかも自分がそれを教えるなどは思いもしなかった。驚きと同時に,薬学領域の大きな変化のうねりを実感したことが思い出される。
スペース
私の記憶にある漢方との出会いは,たぶん大学1年の時,大学生協の本屋さんで,なぜか大塚敬節先生の『漢方の特質』(創元社,昭和46年)を手に取ったことのようだ。その本は講義のタネ本の一つになっていて,学生には大塚敬節先生の初版本を持っていると自慢しているが,自慢の理由がイマイチ伝わっていないような気もする。
スペース
大学時代は漢方とは直接縁がなかったものの,就職した研究所(生物活性研究所)が千葉大学亥鼻キャンパスに移ったため,夕方ちょっと抜け出して,東洋医学研究会(通称,東医研)の勉強会に時々参加させて頂けるようになった。その後は,日本漢方協会の通信講座を受けてみたり,漢方関連の講演会を覗いてみたり,中医学をかじってみたり....。漢方に惹かれながらも,近づいたり離れたりしながら,どこか本気になれずに,やっていたように思える。
スペース
それというのも私の怠惰な性質によるところであるが,勉強会などでも漢方が分かったような気になれず,ほんとうに信じて良いか(効果があるのか)どこか心もとなく感じていたことが,漢方に入り込めない理由だったのかもしれない。科学にどっぷり浸かって悦に入っていた当時の自分にとって,「科学的でない,あるいは,科学的に説明できない」ことが,「信じるに足らない...」の代名詞であるかのように,頭のどこかで感じていたのだろう。「科学は現在のところベストな方法論であり,発展途上である...」とも考えられなかったようだ。もっとも,健康関連の広告に「科学的に証明された...」なぞと出てくると,すぐにクリティカルな態度になってしまうが。それに,勉強会で当時よくお話に出ていた「当芍散美人」(夢二の美人画的女性の「証」)に憧れて,自分の「証」を見誤っていては漢方薬が効くはずもなく...。やはり本気で使ってみて,「漢方は効くのか!」という手応えを自身で感じられた時に,医療として納得できたようである。
スペース
これからの医療を考えるとき,近代西洋医学の科学的視点を基にして,漢方の視点もきちんと加わることで医療の幅が広がり,患者さんたちにとってより良い医療が提供できるのではないか,と期待している。それを念じて,薬学部で「漢方医学」を担当しているが,漢方を教える立場というのはどうも面映い。学生たちの学びの先輩(?)として,彼らが「漢方医学」(あるいは「漢方薬学」)を継続して学んでいけるような講義でありたい,と願っている。
スペース
奥山 恵美 (おくやま・えみ)
1975年3月 千葉大学薬学部薬学科卒業
1975年4月   千葉大学生物活性研究所技術補佐員—技術員—助手
1984年3月   薬学博士(千葉大学)
1984年10月   米国マサチューセッツ工科大学化学科博士研究員
1986年12月   ヒューマンサイエンス振興財団流動研究員(国立衛生試験所,現・国立医薬品食品衛生研究所)
1988年9月   千葉大学薬学部助手
2001年4月   千葉大学大学院薬学研究院助教授
2004 年4月   城西国際大学薬学部教授 現在に至る
ライン
<所属学会>
スペース
日本薬学会,日本生薬学会,和漢医薬学会,日本代替・相補・伝統医療連合会議,日本統合医療学会,日本漢方協会,日本化学会,日本地衣学会 アメリカ生薬学会,アメリカ植物学会議,アメリカ化学会,イギリス王立化学会(CSci,CChem,MRSC,Chartered Scientist),国際純正応用化学連合(IUPAC)
ライン
INDEX
TOPWhat's 帝國製薬製品情報会社情報採用情報医療関係者のみなさまニュースリリースサイトマップ
Copyright (C) 2008 Teikoku Seiyaku co.,ltd. All Rights Reserved.